がんサバイバーと腹水

がんサバイバーという人たちがいます。
どういう形であれ、癌になった人たちです。
治っている人も、治らない人もいます。
どなたも、様々な形で苦労されています。

僕の外来に、若い男性がやってきたことがあります。
「僕は、子供のときに白血病になりました。
 抗がん剤で治ったんです。
 こんど、結婚することになりました。
 でも、僕はこれから癌にまたなるのでしょうか?
 生まれてくる子供は、大丈夫でしょうか?」
ありがたいことに、EBMというものを勉強していて、同じようなストーリーをもとに学んだことがありました。
知っている情報をお伝えして、説明させていただけたのです。
辛い話も多かったので、申し訳なかったのですが・・・

治った人も、行きていく上で辛い経験をされることがあるんですね。

さて、腹水患者さんです。
腹水の人をみると、医療者は「余命が短い」と思います。
そして、無難に何もせずに経過を見ようとします。
腹水を抜いてくれる人は、まだ親切・・かな。

本人は、実は元気なことが多いのです。
「腹水だけなんとかしてくれたら、私は生活も仕事もできるんです!」
僕がKM-CARTをはじめて実施した患者さんの言葉でした。
余命3ヶ月と言われたこの人は、1年後まで元気に人生を謳歌されましたよ。。

医師と患者さんの、余命や元気さに関する感じ方が、ボタンの掛け違いになって、すれ違っているな・・とよく感じます。

KM-CARTを考案された松崎佳祐先生が「医者がかってに諦めちゃ駄目だよ」とおっしゃられていたのを伺って、感じるものがありました。
のぶまさクリニックにも、フラフラで通ってきてくれる腹水患者さんがおられます。症状を伺って、先日抗うつ薬を処方したら腹部の症状が劇的に改善し、すごく元気になられた方もおられました。
勝手に諦めてはだめですね。
CARTでも、内服でもなんでも、何かできることが無いのか、患者さんと探っていくクリニックでありたいです。